2部優勝が目標だったのか、1部昇格が目標だったのか、この日で全て分かります。
4季ぶりに2部リーグ優勝を果たし自信を手に入れました、ときらは言っています。
対戦相手は春と同じく広島国際大学。春はわずか7点で負けたセットもありました。
ベンチには岡山から何度も駆けつけてくれた本郷コーチ。気合が相当入っています。
現役生とともにチームを作り上げてきました。自分たちの夢を後輩たちに託します。
広大も相手もメンバーは春と変わっていません。まさにこの夏の真価が問われます。
会場はいつも練習している北体育館の奥コート。アドバンテージは広大にあります。
ただ、普通に過ごしていてはアドバンテージは生かせません。その準備が大切です。
その点で、できる準備はやり尽くしたと、チーム全員がそう思えていたと思います。
ローテーションごとに細かく分析できていたので、サーブの強さがもう違いました。
相手の強力なセンター線を使わせず、二段からの切り返しで得点をあげていきます。
ドリブルやネットタッチ、オーバーなど、ミスがたくさん出ながらもリードします。
1部の速いバレーとは正反対で、強打より軟打で相手を崩すことが出来ていました。
これまではたまたまだったあみの全力チョロは、もはや意図的で狙いどおりでした。
あみは中から、そしてききは動いて中から外へ。相手の動きがよく見えていました。
背伸びすることなく自分達にできることを徹底したからこそ、リズムがありました。
相手が困り始めても相手に合わせることなく、広大はむしろ調子を上げていきます。
決して誰かがめちゃくちゃ決めるわけではないけれど、みんなが決めるんですよね。
自分だけではないみんなの力。これこそみやが1年をかけて作ってきたチームです。
課題だったスタートを克服し、リードを奪っての中盤。ここからが本当の勝負です。
本郷コーチも本気になって立ち上がります。ルールではダメですが立ち上がります。
もちろんすぐに怒られて着席した本郷コーチ。それでもなぎに指示を出し続けます。
真夏の北体育館で、そして惨敗続きの倉敷で築かれた信頼が、そこにはありました。
本当に好きな写真なのでもう一度。お互いの本気が、今の躍進につながっています。
目の前の結果に一喜一憂せず、遥か先のこの日に向けて地道に取り組んできました。
4年生がみんなそうだったからこそ、チームとして同じ方向を向き続けていました。
一人一人は突出していなくても、まとまることができれば強いチームになるんです。
気付けば6点差で大きくリード。この展開を予想できた人は、何人いるでしょうか。
繰り返し言いますが、お互い春と同じメンバーです。今考えても、信じられません。
でも、彼女たちは信じ続けてきました。だからこそ、浮つくことも全くありません。
終盤徐々に点差を詰められる苦しい展開でしたが、大崩れしない強さがありました。
ここが「チーム力」なんですよね。土台が出来ているのでこの場面でも動じません。
見ていて本当に頼もしかったです。終盤の得点の積み重ね方に、成長を感じました。
24−23、しびれる場面で勝利への1本を任されたのは、ルーキーのはくでした。
キャッチからの平行を1本で決め、1部チーム相手に何と1セット目を先取します。
今のメンバーでは全員が初めてとなる対1部の勝セット。ついに歴史が動きました。
今夏の練習は間違っていませんでしたね。自分たちにだって、やればできるんです。
さぁ、勝つためにはもう2セット取らないといけません。先はまだまだ長いのです。
相手は間違いなく対応してきます。流れの変わり目を、乗り越えられるでしょうか。
ここで大切になるのは我慢と判断。基礎練習と言うのはここで生きてくるんですね。
ファンタスティックプレーヤーがついに覚醒。ボールを拾い続けたのはなぎでした。
ボールを引き付け、最後に出すからリズムが生まれます。いや、本当に驚きました。
なぎはもう上手くならない、と私は匙を投げましたが、みんなとなぎは違いました。
最後まで諦めずに声をかけ続けたから、一番大事な場面で輝いたのかもしれません。
本郷さんを超えるリベロは本郷コーチによって生み出されました。これぞ伝統です。
脈々と代々受け継がれてきた意志が、また新しい世代に引き継がれると良いですね。
入替戦で覚醒したのは、なぎだけではありませんでした。あみもまた大活躍でした。
これまでは自信のない、不安な表情でみんなを心配させましたが、もう別人でした。
相手の強力なセンター陣に果敢に勝負したからこそ、レシーブ隊形を崩させました。
元々良かったサーブも磨きがかかり、あみのサーブは毎回ブレイクチャンスでした。
自分の体の動きと相手の動き、ボールとの位置関係を客観的に把握できていました。
だからこそミスが減り、落ち着いてボールをつなぐことができるようになりました。
センタープレーヤーは、サイドアタッカーが振り返ったときの一番近しい存在です。
あみの笑顔を見れるとアタッカー陣は嬉しいもの。欠かせないものができましたね。
2セット目は序盤に走られてしまいましたが、内容は決して悪くありませんでした。
サイドに2枚つかれ切り返されたものの、チームのリズムは崩れていませんでした。
結果は14−25。点差ほど差はなく、サーブの主導権が結果を左右した印象です。
勝てるチームになるためには、セットを取られた後が大事。勝負の3セット目です。
きらの中の攻撃は、キレ、高さ、力強さのどれもまだまだ。1部では通用しません。
でも、チャレンジしたことに意義があります。やってみないと課題は出てきません。
2部で通用して満足していては1部昇格はできません。目指す場所が見えましたね。
流れを取り戻すためにはきっかけが必要ですが、防戦一方の難しい時間が続きます。
自分たちの強みは何なのか、それが少し見えづらくなっているのかなと感じました。
強みと言えば、まずはサーブ。ききのレーザーサーブには、つきも思わずびっくり。
ききのプレーには練習の積み重ねを感じますよね。着実に確実に上達してきました。
そのききとみやのコンビも大きな強み。自分たちが動くからこそ、相手も動きます。
今更ですが、みやが159cmとは信じられません。エースとして得点を重ねます。
その対角も今夏で広大の強みになりました。はくの成長なしにこの秋は語れません。
二段とストレートを打ち切れる選手は早々いません。緩急の使い方も覚えましたね。
キャッチも前に出せるようになりました。ここで攻めるからこそ流れが変わります。
15−25で敗れますが、こうした強みは通用していたのでチャンスがありました。
後がない4セット目、もう一度自分たちの強みを出し切ることができるでしょうか。
まずはサーブで再び勢いを取り戻します。相手のクイックを使わせない、原点です。
サーブで主導権を握れると、相手サーブが弱くなるので、キャッチが返る好循環に。
自分たちのやりたいことができ、広大が攻め、相手が守る構図が出来上がりました。
体格差や経験差があっても相手は同じ大学生。努力と工夫次第で太刀打ちできます。
2、3セット目では落としていたラリーを取れるようになり、盛り返してきました。
ききのブロックはレシーバーが守りやすく、再び6人の足が動くようになりました。
中盤も相手に離されずについて行き、20−20でついに同点。力をつけましたね。
一日一日は地味で目立たなくても、全員が信念を持って続ければこうなるんですね。
ここでフロントポジションに上がってきたみや。お互いがっぷり四つ、待ったなし。
入替戦4セット目、最も力が入る場面で前に出たのは、広大ではありませんでした。
勢いだけでは乗り越えられないのが入替戦。本当に細かい部分が勝敗を分けました。
最後は5連続失点で20−25。目標とする一部昇格には後一歩及びませんでした。
が、最も弱かったチームが一部に最も近づきました。チーム全員よく頑張りました。
ちょうど明日にも、同窓会誌「コートの仲間 第34号」を発刊、発送します。
原稿等でご協力いただいた皆様、お忙しいところありがとうございました。
文字数にすると、約4万〜5万文字ありますが、
それが単に文字として認識されるのか、それとも言葉として認識されるのかは、
これは読み物共通のことですが、全ては読み手次第なのだろうと思います。
書き手のことを知っている、
書いている様子まで思い浮かべられる場合はもちろん感受性が高くなりますし、
そうでなくても、いろんなところにアンテナを張って日常を過ごしていれば、
読み物から思いがけない言葉に出会うこともあるのだろうと思います。
今年1年間、女子の戦いぶりを見てきて強く印象に残ったのは、
広島県の尾崎先生が書かれている、
「目標を見失わず、粘り強く」
という言葉でした。
みやも書いてくれていますが、
今年は春リーグの敗戦で、一度は完全に目標を見失いながらも、
仲間と向き合ってお互いに支え合い、
散々な上半期も、
基礎練習ばかりの猛暑の真夏も、
ゴールが見えない練習試合の日々も、
一人の脱落者を出すこともなく、それどころか、
応援する人たちが日に日に増え、
たくさんの人たちとともに乗り越えてきました。
5月の時点で11月4日に照準を合わせ、
そこから逆算して、それぞれの時期に必要な練習を、
その時にできる全力で取り組む姿勢は、側で見ていて本当に見事でした。
彼女たちの一日を、もしくは数時間を切り取って見た人は、
良いチームとは思っても、強いチームとは思わなかったことでしょう。
なぜなら、彼女たちの強さは、一つの線になってこそ発揮されるからです。
自分以外の人に託すと、
木の枝のように様々な方向を向いてしまう可能性がありますが、
自分一人で生まれる幹の太さなど、
せいぜい両手で測れる程度です。
しかし、何人も、何十人も集まって生まれる幹と言うのは、
計り知れない大きさになるだけではなく、
誰かが違う方向を向きそうになっても、
他の誰かが同じ方向を向かせてくれる力があります。
らんの世代が耕した畑には、
るいが託したひなとあんが種をまき、
さととかなが水をまいたことで、力強いたくさんの芽が生まれました。
そして今年、その芽は茎ではなく、
嵐でもびくともしない幹となって、逞しく、本当に逞しく成長しました。
自分たちで考える、
その大切さだけではなく、その方法を今のメンバー全員が体で覚えたことは、
近い将来の未来を変えることになるのかもしれません。
7月以降は、怪我に気を付けよう、と言う必要が全くないほど、
3時間の練習も、練習試合も、「集中力」が目に見えるくらいありました。
そうした空間と言うのは、結果がどうであっても居心地が非常によく、
だからこそ、遠征先から夜に帰ってきても、
水を買い出しに行き、翌朝7時にはまた遠征に出発する活力が湧きました。
もう10年も前のことですが、
毎日体育館で悩みながらも、楽しく過ごしていた日々が何度も思い出され、
あの頃に得たものは何か、今できることは何か、自問自答した1年間でした。
結果、1部昇格できなかったことは、私としても力不足でしたが、
後輩たちから、まだこんなにもたくさんのことを教えてもらえるのかと、
新しい発見と、貴重な時間を共に過ごせたことへ感謝を重ねた毎日でした。
秋リーグの写真編集が遅れているのは、時間がないこともありますが、
あのときの感動と、これが終わると全てが終わってしまう寂しさから、
どうしても目頭が熱くなり、なかなか手が進んでくれません。
だからこうしてダラダラと、長々ととりとめもなく書いてしまっています。
それなのにここまで読んでいただいている、猛者中の猛者の読者の皆様へ、
最後にT.T賞を発表してお別れとさせていただきます。
今回は男子の1枠も女子に譲り、女子計3枠とさせていただきました。
本当は全員にあげたいところですが、それだとさすがに甘すぎるので、
受賞者以外の方は、全員次点だったと思って、
受賞者の方々をお祝いしてもらえると嬉しいです。
まずは一人目、もう言うまでもありませんね。圧倒的な牽引力でした。
何かのときに話してくれましたが、
4年生の気持ちを、3年生以下が分かることなんて無理で、
4年生になって初めていろんなことが分かった、と。
これはまさしくその通りだと思います。
4年生が考えていること、裏で動いていること、熱い想いを持っていること、
それらを完全に理解することなんて、なってみないと分からないのです。
特に、下級生のみやを知る人たちにとっては、
エースとしての力がありながら、波にゆらゆら揺られている毎日に、
時にはフラストレーションが溜まったこともあるでしょう。
私の場合は、時に、どころではありませんでしたが…。
でも、何が素晴らしかったかと言うと、
4年生になってすぐにそのことに気付き、考動を変えたことです。
まず、その立場になっても気付かない人なんて、いくらでもいます。
次に、気付いても変えることができない人も、山ほどいます。
気付いて、考え方も行動も変えると言うのは、
言わば自分の愚かさを、心の底から認めないとできない、
とても難しいことなんです。
少し偉そうな言い方になりますが、
これまではみやに向けて言った言葉でもあまり受け取ってもらえなかったものが、
今年はかなり遠回しに言っても、その意味をくみ取ってくれていると感じました。
一番最初に変わらないといけない選手が、その通り一番最初に変わったことが、
同じメンバーなのに、春と秋で全く異なるチームに成長した一番の要因です。
全く分からなかった自分と、分かるようになった自分、
その両方の経験を持っている人と言うのは、人をよく育てます。
自分が分からなかったように、
どれだけ熱意を持っても伝わらないことなんて、これからいくらでもあるでしょう。
でも、そんな相手もいつかは気付くかもしれません。
相手が気付いたときには、自分とはもう関わりがなくなっているかもしれませんが、
それでもその相手が気付いたのであれば、
その人がまた違う誰かを気付かせてくれるかもしれません。
自分一人で伝えられる人の数は知れていますが、
その人たちが伝えられる人の数になると、すぐに星の数になります。
今年の経験だけではなく、4年間の経験を大切にして、
未来を担うたくさんの人を育ててくれることを期待しています。
続いて二人目、こちらも圧倒的な存在感で毎日を明るく照らしてくれました。
一つ一つのプレー技術だけで言えば、試合に出場しているのが不思議なほどです。
しかし、なぎのいないチームなんて考えられないと、
今では誰もが思っていることが、なぎの持っている力なのだろうと思います。
今年は基礎練習の期間が長く、多くのメニューが取り入れられ、
毎日あーだったね、こーだったねと、反省を重ねてきたことと思います。
「反省」を社会人的に、社会通念的に言うと「評価」になると思いますが、
評価するときに最も大事なことは、
その評価されることに対して、全力を尽くしてきたと言い切れることです。
そもそも全力を出していないものを評価したところで、
単に結果を出すノルマをクリアしただけで、誰の心にも響かないし、
その評価が次につながることもありません。
評価と言うのは、全力を尽くしたと言い切れるからこそ、
結果を真摯に受け止められるし、
次のPlan、次のPDCAが回る原動力となります。
なぎがいる練習と言うのは、みんなが全力で取り組む練習になるんですよね。
みんなを引っ張る立場にある人が、あれだけ声を出して、あれだけ汗をかいて、
でもいつでも楽しそうで、ってなったら、そりゃ全員全力で取り組みますよね。
だからこそ、練習後の反省が次の練習に生きて、
次の練習の反省がその次の練習に生きて、とどんどん成長していきました。
自分たちしかいない中でも、たくさんのことに気付くことができたはずです。
それは裏返すと、みんなそれだけ目の前のことに全力だったと言うことです。
私も、なぎに負けまいとブログを更新してきましたので、
私も、なぎに全力を「出させられた」うちの一人です。
きっと、体育館や会場に足を「運ばされた」方もいるでしょう。
まぁ、なぎを見て、本気にならない人なんていません。
自分の周りの人たちの力を発揮させる、
バレーボーラーとしても、人としても、最も大事なものを持っていました。
応援したくなる、ではなく、応援せずにはいられないチームを作り上げたなぎ。
歴代最多に並ぶ三度目のT.T賞は文句なしです。大変お疲れさまでした。
最後の三人目、いつかはみやを超えるスーパーエースになってくれるはずです。
4年間のうち、一番成長が目覚ましい時期と言えば、
2年生の夏、が最も多いような気がしていて、
1年生の夏に早速力をつけられる選手なんて、これまで見たことがありません。
春リーグで見せたストレートに、かすかな予兆はあったものの、
できることが限られていたので、成長はもう少し後になると思っていました。
ところが、スパイクも、ブロックも、サーブも、そしてレシーブも、
やり方、考え方一つでみるみる上達し、
秋リーグでは苦しいチームを度々救う、大活躍を見せてくれました。
はくを見ていて強く感じるのは、バレーボールに対して、壁がないこと。
大学生までバレーボールを続けてくると、
こういうときにはこう、
と言う固定観念がどうしても体に染みついているものですが、
良い意味で理論的でないと言うか、感覚的と言うか、
バレーボールが好き、という感情が体を動かしているように思います。
と同時に、上手くなりたい気持ちも備わっているので、
その方法に出会いさえすれば、とてつもないスピードで成長することができます。
バレーボールが好きで、上手くなりたくて、それだけのフィジカルがあって、
と、はくは練習で上達するために欠かせない3つの要素を既に持っているので、
1年生ながらMVP級の活躍が出来たのだろうと思います。
みやと言う絶対的なエースと1年間、コートの中で共に過ごした経験は、
これから訪れるかもしれない向かい風の中でも、
必ず自分の背中を強く押してくれることでしょう。
自分が見た、聞いた、感じたことを大切にして過ごしていれば、
それはきっと、まだ見ぬ次の世代にも伝わるはずです。
真冬の練習は、他のチームと大きく差が開くとても大事な期間なので、
持ち前の元気で、エネルギッシュに頑張って欲しいと思います。
以上、T.T賞の発表でした。
ここまでたくさんお付き合いいただき、
そしてたくさんのご声援を1年間を通していただき、
本当にありがとうございました。
猛者中の猛者の中のさらに猛者の方がもしいらっしゃれば、
来年もどうぞよろしくお願いいたします。