誰にとっても激動の1年であっただろう2011年が、今日を含めてあと3日で終わろうとしています。今年を表す漢字が「絆」と発表されて以来、その言葉を耳にしない日はありません。広大バレー部にとっても、苦しんだ上半期から雪辱を果たした下半期まで、仲間としての絆が深まった1年になったように思います。現在YouTubeに過去の試合をアップしているところですが、後々語られる一戦が全日で出来たことは、日が経てば経つほどその重みが増していくのだろうと思います。あの時の、あのプレー、練習で散々言われてきた「点を取る」ということが何なのか、そしてそのために練習があることを、これほどまでに実感できたことはないでしょう。あの亜細亜大学戦を、素人目線ですが少し振り返ってみたいと思います。
まずは1セット目、サービスエースと切り返しからの軟打による失点で0−2と出遅れると、続く3本目も前田くんのレフトがワンタッチから切り返されます。この時点で0−3になるのは覚悟の上でしたが、ラッキーなことに相手レフトがネットにかけてくれて、広大は何も出来ていないまま1点を取ることに成功します。その後、景山くんのサーブからワンタッチからの切り返し、さらに立花くんがダイレクトを落ち着いて決め、3連続得点で3−2と逆転します。
3セットマッチの短期決戦の中、この3連続得点の持つ意味は計り知れないほど大きいものです。この日、上智大学戦で勝利を収めていたものの、負けたら終わりのトーナメント戦のプレッシャーで、緊張していた選手も多かったように見えました。これがもし0−3になっていれば、もっと焦っていただろうし、この後の中盤に着実に点を積み重ねることも難しかったように思います。この3点のおかげで広大は完全に流れに乗るのですが、逆に言うと、実力的には勝てるような相手でもちょっとしたミスで相手を乗せてしまうことがあるので、序盤から畳み掛けれるようなチームの方が、見ている側としては安心出来ます。
3−2とリードを奪ってからは一度も逆転されることなく、サービスエース、ブロード、平行、クイック、ブロックなどチームカラーであるバラエティー溢れる攻撃で、25−15と圧勝で1セット目を先取します。映像を見ても分かるように、「簡単に勝てた」印象が強いのですが、その理由は以下のスコアを見ていただくと明らかです。
【スパイク決定率】
前田 8点(/12本)→75%
尚吾 4点(/5本)→80%
小熊 2点(/2本)→100%
景山 2点(/2本)→100%
立花 1点(/2本)→50%
【カット返球率】
出来尾 2本(/6本)→33.3%
尚吾 5本(/6本)→83.3%
前田 1本(/2本)→50%
景山 1本(/2本)→50%
【カットからの得点率】
11点(/16本)→68.8%
このカットからの得点率を3−2以降に限定し、かつ、もらって得点したのも加算すると、何と脅威の92.3%!(12点/13本)そのうち、相手ブロッカーが2枚のときが7回、1枚半が2回、1枚が3回、0.5枚が1回だったので、スパイカーが相手の高いブロックを上手く利用して点を取っていたことが分かります。また、スパイカーに勝負出来るトスを上げ続けた江藤くんも立派です。今まででやってきたことをフルに出せた、本当に素晴らしい1セット目でした。
続く2セット目、相手のブロックとレシーブが徐々に機能し始め、カットから1本で切れない場面が増えました。しかし、広大もレシーブでつなぐ良い形の攻撃が目立ち、常に先手を取って試合を優位に運びます。ただ、リードをしていても簡単に点が取れなくなったため、どこかで逆転される気がしていたのかもしれません。23−19から5連続失点でセットポイントを奪われるわけですが、それはスパイク決定率の急激な低下からも読み取れます。スコアだけ見ると、全く別のチームを相手にしているみたいです。
【スパイク決定率】
前田 8点(/15本)→53.3%
景山 5点(/10本)→50%
小熊 2点(/5本)→40%
尚吾 2点(/9本)→22.2%
立花 0点(/1本)→0%
【カット返球率】
出来尾 9本(/12本)→75%
尚吾 4本(/6本)→66.7%
景山 4本(/4本)→100%
前田 2本(/3本)→66.7%
【カットからの得点率】
13点(/25本)→52%
23−24からの再逆転劇は、言葉よりも映像の方がよく伝わると思います。後がない状況での渾身のライトバック、レフト平行、ブロック…。決めるべきところで決めてくれたエースの活躍は、来年にもつながる最高のパフォーマンスだったと思います。振り返ってみれば、今年1年で両エースともに活躍した試合は、この試合が初めてではないだろうけど、本当に数えるくらいしかありませんでした。他のメンバーは試合経験の浅い選手が多く、あと1点、この1点が取れないことも本当にたくさん、たくさんありました。練習の内容だって試合の直前でも悪くて、秋リーグのときも全日のときも、「どうなるんだろう」っていう不安を抱かずにはいられませんでした。それでも、コートの中、そしてアップゾーンの結束力が素晴らしく、試合の中で成長していく姿が非常に印象的だった1年間でした。4年生の役割分担が明確で、その分下級生のやりやすい環境が整っていたように思います。「4年生の姿」っていうのは自分が1年生のときの4年生のイメージがやっぱり強くて、その意味で自分が4年生だったときの1年生である20がその姿を見せてくれたことは、自分たちはこういう風に映っていたのかなとも思うことが出来ました。最後は慶應戦で負けてしまいましたが、自分たちの出来ることはやれていたし、2セット目は見せ場もあって大変満足のいくものでした。あの川崎市体育館での3日間、広大らしさを思う存分披露できたことは、必ず今の現役生、そしてこれから入ってくる新入生に確実に良い形でつながります。4年生のみんなは広大バレー部として過ごしてきた4年間を誇りとして、更なる後輩育成に努め、広大バレー部を支える一人でいて続けて欲しいと思います。本当に、本当にお疲れさま、そしてありがとうございました。